Terminator 2 での効果音メイキング動画

The Audio Spotlightで、1991年に公開された Terminator 2 でのショットガンのサウンドメイキングについてサウンドデザイナーであるGary Rydstromが語った映像を取り上げています。

How canyon echo in a hallway makes Terminator 2 "bigger than life" | The Audio Spotlight
How canyon echo in a hallway makes Terminator 2 “bigger than life” | The Audio Spotlight

はじめはフェイジングのかかった拳銃の音、次に峡谷に響くライフルの残響、大砲の音、ピッチを上げた大砲の音、それらをバランス取ったミックス、最後にBGMと合わせたファイナルミックス、おまけとしてGary Rydstromの解説と。
曰く、当初からサウンドについては「ハイパーリアリスティック」というワードで話し合っていて、SFに押し込むのではなく、とてつもないことが目の前で起きていることがわかるように大げさに加工していたとのこと。
現実味だけを考えたなら峡谷の残響を用いるのも過剰演出なのだけど、「ブッ放す」を表現するためにはこれが得策だったという話。
合わないなら合うように音を重ねるっていうのは、常套手段である一方で実は短絡的でもあって、件のサウンドデザイナーの方も当時いくぶん不完全燃焼気味な感覚があったのではないかなと察します。
これから数年も経たないうちにおそらく、これまでの大量の制作成果を材料として、ヌルヌルと音の質感を変えられる技術が生まれるような気がするので、そうなると音効のお仕事は「何でもかんでも音を付けるのでなく、どの場面でどういう音があれば伝えたいストーリーが最低限伝わるか」みたいな抽象化センスのほうに次第に傾斜していくのでは、と思ってます。

この動画を提供しているIndepth Sound DesignのYouTubeチャンネルには他にも多数のサウンドデザインのプロセス動画がアップロードされているようなので、その道を目指す方には為になると思います。

これなんかは、Sound FXのみのバージョンと、アンビエンスとフォーリーのみのバージョンと、声のみのバージョンと、最終MIXとを順番に見られ、いまの時代どこまでがフォーリーの持ち場でどこからが素材の担う領域で、どこまで声で演じるか、定位や音響をどこまで調整しているのかがわかりやすいと思いました。