【動画ネタ】プロデューサーとしての細野晴臣

敬称略。

どうも調べてみたら(アーカイブ)2000年4月26日辺りに放送されたものらしいETV2000「細野晴臣・いつも、新しい音を探している」。たまたまYouTubeでおすすめに出てきたので休憩がてら見ました。はっぴいえんどで日本語のロックと詞の在り方を徹底的に試し、ティンパンアレイで他のアーティストを導くプロデューサー気質を磨き、YMOとして花開き、と。ご本人は相変わらずのほほんとしてらっしゃるのだけど、行く道行く道で何かしら拾って磨いて玉にするってのは、端から見れば何とも強かな生き方に見えるんだろうなと思いましたよ。

その2夜。YMO時代のプロデューサーとしての視点での話が興味深いです。

概要

Q:イエローマジックとは?
A:アメリカでも日本でもない(ロックに日本語詞を載せたら、日本では詞が評価されて曲が評価されにくく、アメリカだとその逆だったという、第1夜で語られたはっぴいえんど時代のエピソードの流れ)。善悪ベースのキリスト教的な観念が自分には馴染まず、脱アメリカ的な意味合いで、白魔術、黒魔術の間にイエローマジックを認めた。
Q:コンピューターに目を付けたのは?
A:面白かったから。ベースを打ち込むとベースが鳴っちゃうわけで、アイデンティティが崩壊した。でもそれ以上に面白かった。

Q:世界で売れたのは希望したこと?
A:メインストリームじゃなく、もともと世界中の’よほどの音楽好き’に届けたかったもの。

Q:アプローチとしては「海外から見たアジア」をパロディした感じ?
A:80年代から都市レベルの音楽が始まったのと、混沌とした東京の日常がいつしか客観的に見えるようになった。

Q:YMOのプロデューサーとして純粋に音楽だけ考えてた?
A:レコード会社とのプロデュース契約との狭間で苦しんだが結果的に成功してほっとした。プロデューサーとしてアイディアがないと、活動を続けること、アルバムを作ることは難しい。

Q:今のプロデューサーをどう感じるか?
A:丁寧な分、遊びがないなと。今、売れるものと売れないものとの差が開いて中間が無くなった。中間が遊びの部分。経済的な枠に音楽が組み込まれてる以上、遊べないもんね。自分がYMOでやったのはほぼ遊びだった。

Q:三人それぞれの成長があった?
A:30歳前後だったが青年期の真っ只中で、葛藤を通して成長があった。日々、自分との戦いで、囚われてる気分だった。

Q:いま思うYMOは…?
A:YMOは終わったものだから、その後音楽がどうなったのかを見つめてほしい。

何をどう思うかは人それぞれなので、ここでは僕の所感だけ記しますが、パソコンの登場で演奏家としてのアイデンティティを崩壊させつつも面白さに着目するというのは、単にポジティブっていうのじゃなくて、’プロデューサーとしての責任’と、あと’その後どうなったのかを見つめて’とご本人も仰ってるように、面白さの向こう側に未来図を描けてたからだと思うのです。
先ほども書いたけれど遁世者の如く過ごしながら実は真髄を見詰めるなんてのは、ファンタジーもののストーリーで見るベタなキャラのようでもありますが、頭いいか感覚が鋭くないと易々とは出来ないよなと思ってて、遊びとして作ったなどと言いつつ享楽的な遊びではなく知的遊戯の風情が濃く感じられたのもそのためだったんだろうなと今にして思います。結果的にそうだったんだよときっと仰るだろうけど、偶然じゃなく必然にするのに脳も神経もすり減らすって姿勢は本当にリスペクトします。
演奏家の利権って見方をあえてすると、ただそれを突き崩すんじゃなくて共存可能なことも示したわけで、失敗したら責任は自分が取ると(ミスリーディングな書き方のようですが、一個の自我から語られてることなので間違ってはいないと思う)。突き崩して後は知らん、って無秩序なのとは違いますね。

2000年の時点で’中間が無くなった’という印象があったんですね。そして’遊び’がその中間に位置するものという見解。これを今ニコ動や同人のコンテンツと突き合わせて考えると、背景はだいぶ違ってるけども、充分バイタリティのある’生産’がもたらされていると言えるでしょうね。
個人的には、消費ペースが恐ろしく速いって点をどう捉えるか迷ってます。

そういやつい数日前の柴さんのブログに、こういうのがありました。

ニコニコ動画だけじゃない。YouTubeにだってその仕組みがある。動画中に掲載される広告により収益を得ることができる「YouTube パートナー プログラム」の収入で暮らしている、いわゆる「YouTuber」と呼ばれるクリエイターも徐々に登場してきている。その仕組みは以下の記事に詳しい。
「音楽を売る」ということの先にあるもの – 日々の音色とことば:

あくまで蛇足的所感なのだけど、YouTubeのパートナープログラムやニコ動のクリエイター奨励プログラムって、無いより有ったほうがいい程度に僕は認識していて、楽観も客観もしてません。