emVoiceのニュースレターがGlottal Stopにふれる

emVoiceのニュースレターがGlottal Stopにふれる

新製品の話題がないのでお茶濁し的な話になりますが。
emVoiceからのニュースレターでglottal stopが取り上げられていました。
glottal stopとは声門閉鎖のことで、驚いたときの「あっ!」の頭とお尻、「さ、いきましょう」と言うときに狭間に現れる”いったん止まる音”のこと。音楽で言えば、わざわざ入れる休符のようなもの。
ここでは声門が閉じ、息を止めたような動作になります。

英語にせよ日本語にせよ歌の中で、詞の冒頭にせよ、末尾にせよ、合間にせよ、glottal stopが現れるのは、特定の単語を強調してそこに特定の意味を加えたいとき。
「I am」というときに「アイアム」だと流れちゃうので「アイ、アム」と区切って「ほかの誰かなんてどうでもいい、”私が”そうなのだ」を伝えたいとか、「ああ、愛してる」というときにそのままだと「あーーいしてる」とだらしなく聞こえちゃうのできちんと区切って意図を伝えたいとか(芸人さんのネタでいえば、大谷健太さんの早口言葉にある「いい家、エイ、イエイ」の端々に差し込まれてる)。
そう思ったときには、生身の人間であればわりと無意識でやってること。
emVoiceではそれが仕組みとして備わっているということになります。
どちらかというと音声学ではなく音韻学の分野になりますが…。

IPA number - Wikipedia
IPA number – Wikipedia

AIを含め、歌唱合成なんかにおいて、強調したい歌詞だからとそこだけ無闇に音量を大きくする必要なんぞ本来ありませんし、つながっちゃうからとわざわざそこだけ譜割りを変えるなんてのも本末転倒で、子音とは言い難いけど子音のようにglottal stopを仕組みの中で使えるほうが情感を込めるには望ましい、と個人的には思ってます。
かつてdynamicsで瞬間的にミュートするなんて方法を自分は使っていましたが、すげえ面倒でした。
一応VocaloidのPhoneticsに?マークを入れるとglottal stopっぽくはなりますが、これが開発者の意図通りのものかはわかりません。