半ば過去のものとなりつつあったDCAM Synth Squadの一部である Strobeが Strobe2 にバージョンアップしました。見事にダークホースでした。
Synth Squad を利用登録してる人は$79でアップデート可能。
インストール自体はどうってことありません。DAWを起動してAuthorizeしてもいいんですが、面倒なら(Macの場合)アプリケーションフォルダに裸でインストールされたFX License ManagerでAuthorizeするのもOK。
感想ですが、見た目がかなりスマートになってます。
基本機能をざっと通して見て、さほど進歩していない印象もあったのですが、格段に見やすくなったブラウザから選ぶことのできるプリセットサウンドを聞いて、今年一番の驚き。
前のバージョンだとエフェクターを使うために Fusorの中に Strobeなり Amberなりを組み込む必要があって、それはそれで斬新だったものの、とことん重くて無用の長物と化していたのでした。
Strobe2ではエフェクターが本体に統合され、動作も軽量。
つまり単体でノンエフェクトの音色を選ぶ他なかった前バージョンから比べると、エフェクト込みでエディットされた音色を選べるようになり、そのクオリティも格段にアップしていて刺激に事欠かなそうです(かつてのKorgのシンセがそんなんばっかりでしたが)。
ライセンス参照先の謎
うちの環境では、前回と異なるDAWを起動させる(僕の場合、作業内容によってDAWを切り替えるので)たびにプラグインのオーサライズ情報を確認するために fxpansionのサーバと通信し、必ずその初回は通信に時間がかかり過ぎて DAWを巻き込んでクラッシュします。ひ、ひどい。
ついでにいうと、 Synth Squadの最新版をインストールしてもFX License Managerの内容が古いままで、インストール先を確認したりもしましたが License Manager自体が何のファイル情報を参照しているかわからないため原因究明できず。
しゃあないんでクラッシュ覚悟で毎回 DAWを起動しています。
追加操作
追加になった面白い操作はfxpansionのWebページのWhat’s Newでも確認できますが――
左上に見える Randomizer、これはピッチを損ねないレベルで各種パラメーターがランダムに設定されます。このXYパッドの使い方はなかなか面白い。
MAIN OSCILLATOR部のTONEと、SUB OSCILLATOR部のSHAPE、NOISE部のTONE、VCF部のLEAK。それからSUB OSCILLATOR部のLINKスイッチ。これらは一言で言えば、これまでEQやら何やらでどうにか誤魔化していた”音質”に関わる部分をプラグインの中で制御可能にしたもの。なので非常に実用的に進化したと言えます。
SCOPEに示されるEUCLID, CURV1, CURV2, ZONE1, ZONE2。これらはWhat’s Newには記されていませんが、平坦に聞こえがちな打ち込みサウンドに慣性など与えたりできる面白い操作ですね。Control Changeやオートメーションをちまちま書き込まずともそれらしい音になりますし、MIDIキーボードで演奏しても興醒めを与えない、これはいいものだー。
あと、これは前のバージョンもそうだったんですが、GLIDE(ポルタメント)がオイシイ。これまでも私がSynth Squadを使わざるを得なかったときというのは、理由がほぼこれです。
鍵盤から指を放すとGLIDEがかからなくなっちゃうものが多いんですが、LEGATOをオフにして、これができます。わざとらしいアナログシンセサウンドにしたいとき個人的にはとても必要。
また大きく音程が空くときRateだとゆっくりGLIDEがかかってしまう、だけどTimeだとGLIDE時間を同じにできるのも、ソフトシンセとしては滅多にない機能。アナログの味は出したい、だけどスピード感は無くしたくないってときに必要です(同機能はAlchemyにもあります)。
かなり軽量になり、ノートオンに対するレスポンスもよくなり、かなり味の濃いプリセット音も揃いましたし、しばらくハマりそうです。