“Emvoice One”

Emvoice - Next-gen vocal synthesis
Emvoice – Next-gen vocal synthesis

初期中期のボカロに近い挙動をする Emvoice Pro の可能性を問う記事がMusicRadarに上がってました。
今回のニュースを機にベータ版をダウンロードして動作を確認してみました。

ベータ版インストールまで

EmvoiceのサイトにあるDOWNLOAD EMVOICE ONEのリンクをクリックして手持ちのOSに対応したバージョンをダウンロード。
インストール後、DAWでプラグインを立ち上げてメアドを入力。
届いたメールのVERIFYをクリックしたら使えるようになります。

所感

Emvoice - Next-gen vocal synthesis
Emvoice – Next-gen vocal synthesis

手間のかからなさ、入力から発声までの早さ、声の自然さ、息遣いの生々しさには惹かれるものがあり、ちょっとした英語詞の歌ならこれで充分じゃね?とは思います。

ただ現状、LUCYという名の女声1種類で、声域は1オクターブ半とふつうのボーカリストレベルですし、強弱を付けることもできなければノートのコピペ等操作も不自由で、ボーカロイドに比べて仕様面で劣る感は否めず、またマイクの安っぽい感じも気にはなります。

バージョンナンバーが0.1.4となっていて、この先の方向性が見えないことにはどうしてもボーカロイドの劣化版という印象が今のところは拭えないかな…。

追記191113

2019/11/12に正式版リリースとなったようで、デモを少しだけチェックしました。全体的に滑らかになった…? いや、気のせいかもしれない。

操作は、相変わらずLogicの場合うっかりアンドゥすると全部消えかねないので注意。
超ロングノートを試したらなかなか面白い音になります。でも、この手のバグぎりぎりの手法はVocaloid黎明期に既に色んな人が遊んでる領域なんで今さらか。
とりあえず、無意味に声が潰されてまるで役に立たない英語版ボカロDBに比べたら数億倍素晴らしい歌声で簡単に打ち込めて鳴らせる点、これを最大級に評価すべきでしょう。
あと自動で入るブレスね。

保存されるvp1ファイルの中身はこんな調子のテキスト。転用しやすそうな点もGood。

{"kind": "voicepart", "voice": "Lucy", "version": 1, "tempo": 120, "timesigupper": 4, "timesiglower": 4, "regions": [{"kind": "region", "voice": "Lucy", "version": 1, "tempo": 120, "timesigupper": 4, "timesiglower": 4, "tickloc": 5760, "pretranslated": true, "phrase": "", "usertext": "hello", "translated": " hello", "semitranslated": true, "notes": [{"kind": "note", "num": 0, "tickloc": 0, "tickdur": 480, "frameloc": 0, "framedur": 0, "pitch": 60, "syllable": "", "spelling": "", "phonemelocs": "", "phonemedurs": "", "ornaments": [], "pitcheffects": []}, {"kind": "note", "num": 1, "tickloc": 480, "tickdur": 600, "frameloc": 0, "framedur": 0, "pitch": 55, "syllable": "", "spelling": "", "phonemelocs": "", "phonemedurs": "", "ornaments": [], "pitcheffects": []}], "pitchcurve": []}]}

無感情な歌声をフィーチャーする界隈って海外でもまだ地味に元気で、この無感情さと美しい発音とのかみ合わせをどう活かしていくかは楽しみの一つとして捉えてよさそう。
今のところ、ベータ版から大きな進歩がない印象なので、やっぱりこの先どういう方向に進歩していくのか。ボカロのようにただ声のバリエーションが増えていくだけなのか、それともとんでもない面白さが加わっていくのかは見どころと考えたい。もうちょい静観ですね。