Fabfilterの Pro-Q 3 が今回のバージョンアップでダイナミックEQ機能とサラウンドサポートに対応しましたね。Fabfilter製品はPro-Q、Pro-C、Pro-L、Pro-Rと効果の高いプラグインとして知られていて、妄信並みの信奉を得てる感すらたまにあり。
かつてPro-QをMS処理できるEQとして初めて見たときには僕も感涙したもんです。
FabFilter Pro-Q 3 coming November 29 with dynamic EQ and per-band m/s
すごーくゆっくりペースではあるけど、今年に入ってからこんな風にダイナミックEQ機能が搭載されたり新登場したりってニュースを見かけています。
すでに、1つのEQの中で通常のEQとダイナミックEQが同時に存在できる仕組みが登場してますし、効果としては目立ちにくいけれども小さな転換期に差し掛かったのかなって気がします。
ダイナミックEQというのは帯域指定でかかるコンプのようなもので、信号が網にかかったときだけEQ処理が加わわります。
網にかかったときだけEQカットするのが定石ですが、遠からず逆に、網にかかったときだけEQブーストする手法も登場するかもしれません。
何度か時折書いてきてるのでしつこいかもですが、DeEsser、これは歌やセリフにおける摩擦音や破擦音が通常のEQやコンプ等の処理で強まり過ぎてしまった際に弱めるエフェクターで、摩擦音や破擦音が特定の帯域に現れる特徴を利用して、その特定の帯域の信号が閾値を超えたときにその帯域をカットするというもの。
歌い手や話し手の骨格や口腔形状、癖、あとは録音時の環境次第でも摩擦音や破擦音の状態が微妙に異なるので、DeEsserにはその辺りを調整可能なパラメーターが備わっていることが多い。
声にしか使わないと思われがちなDeEsserですがバスドラやアコースティックギター等にも使うことがあって、この汎用性が高まったものをダイナミックEQと考えてそんなに差し支えないかと。
常時周波数分布を監視するようなものなので負荷がそれなりにかかるってことを考慮してマスターにのみ挿す人もいれば、ミックスバスに挿す程度で手を打つって人もいれば、個々のトラックに挿して頑張るって人もいて、どれが正解と一様には言い難い面あります。
認識としては信号の超過を抑える目的のものですが、声だけでなくバスドラに活用、EQカットでなくブーストに、と書いてきたようにまさかの活用を生み出せそうですし、ふつうのEQとダイナミックEQが一つのエフェクター内に同時に存在していてこそ可能になる技法も定着していくんでしょう。