Spitfire Audio “Albion Colossus”

むかしEastwestにもQuantum Leap Colossus(クリプトン | QUANTUM LEAP COLOSSUS(音楽ソフトウエア))という音源がありましたね、たぶん廃盤だとは思うのですが。どうもこの2年ほど、製品名のカブりが多いので、お気をつけください。ちなみにColossusとはその昔ロドス島にあったとされるヘリオスの巨像のこと。

Spitfire Audio — Albion Colossus
Spitfire Audio — Albion Colossus

こちらはSpitfire AudioのAlbionシリーズ最新作のAlbion Colossus。
当初、Spitfire Audioの力量を知るにはAlbion Oneを買うとよいと言われ、Albion OneがAlbionシリーズの最初の製品なのでした。
リリース順と各製品のベクトルがどうなのか、Spitfireのサポートに記された資料とともに紐解くと、このようになっているらしい(Spitfireのサポートサイトも順不同な感じで並んでいる;しかも慌てたのかフォントの大きさが荒れています)。値段はいずれも一緒。

  1. Albion One – Cinematic – KP
  2. Albion Neo – Dramatic – KP
  3. Albion Solstice – Folk Noir – KP
  4. Albion IV Uist – Thriller – KP
  5. Albion Tundra – Textural – KP
  6. Albion Colossus – Cinematic/Dramatic – Dedicated Plugins

ついでに上に記したように、今回のColossusではじめてKontaktから脱却し、オリジナルのソフトウェアで動作するようになりました。単純に、Kontaktの仕組みではもうSpitfireのやりたいことは叶えられないってことでしょう。

本作Colossusではダイナミクスの幅を今まで以上に持たせようと、Hypeという(サチュレーターやディストーションを含む)新しいパラメーターがキモとして搭載されていて、これ、要は加工エンジン(たぶん)なんですが、KontaktだとKontakt内蔵の加工エンジンしか使用できず、結局他社のライブラリーと同じような出力音にしかならない。製品にSpitfireの太鼓判を与えるにはKontaktじゃ厳しい頃合いよね、という話。
おりしもBig Fish AudioのVintage CountryのNFRが届いてチェックしてみた結果(過去記事にも追記しました)ちょっとこれは…って出来だったのと比べると、Spitfire社の意欲は並ならんなと思わざるを得ません。

収録されたサウンドは動画で確認できます。このほか、製品ページに掲載された写真で、どこまで音響をキメ込んでやろうかって意欲がわかります。もちろんユーザーの好みと合うかは別の話。

Scale, Depth, Hypeの3つのコントローラーで音のダイナミクス、強さを動的に変更することができ、映像に合わせたダイナミズムの作成がかなりラクに行えそう。昨日ちょっとだけ触れたように、macOSのSilicon環境ではVSLのオートメーションがうまく利かない、それどころか今後どうなるかも不透明って話だそうなので、場繋ぎで使っているうちいずれ元VSL環境でもColossusがgo-toとして切り替わっちゃうのでは、って気が少しします。
収録されているのは小/大規模のオーケストラ、パーカッション群、シンセ音、ギター音。基本的にオーケストラサウンドとピアノを得意とするデベロッパーなので、正直なとこシンセ音とギター音にはあまり期待していません。導入後にもしそれを弱みと感じたなら、また別にいい他社製ライブラリーと組み合わせて使えばいいでしょう。

ひとまず、徐々にSpitfire純正のサンプラーが機能充実していってる気配なので、ほぼ機能が充分となった段階で全製品に対してアップデートがかかるかもしれませんね。あと2,3年はかかると思いますが。