D16 Group “Pulsatec”

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D16 Group “Pulsatec”

ポーランドのD16 Groupから予想外なことにPultecのエミュレーション、Pulsatecがリリースされています。
D16 Groupといえば101なり303なり、往年のテクノサウンドのエミュレーションに特化したブランドと思われたのですが。

情報
  • Windows, macOS対応
  • VST, VST3, AU, AAX
  • 定価€89、イントロ価格€49

一昨年から昨年にかけ特にApple Siliconへの対応を兼ねた大型アップデートを行ってきたD16 Group。
単なるエミュレーションではなく、エミュレーションという小さな間口をくぐってからの表現空間の幅やら奥行きの広さが尋常でない。要は、909の音や機能をほぼパーフェクトに真似られるけれども、ある条件でパラメータの値が合致したときにパーフェクトな909の音になるのであって、組み合わせうるパラメータの値には制約がない…ようなもの。Roland Cloudのものでもなく、これまで知名度の高かったエミュレータでもなく、D16 Groupの製品を選ぶならそこが決め手といえるわけです(もちろん人それぞれ)。

さあ、そうなると大きくこれまでとベクトルの異なるPultecのエミュレーションはどうなのかって話になりますね。ここからは個人的な感想になりますが。
UADのPultecにせよ、その他のたとえばLogic純正のTube EQにせよ、小さめの値のブーストでささやかにイコライジング効果が出たのと比べると、Pulsatecでは小さめの値のブーストからかなり目立つ印象。なじませる用途よりは、積極的なイコライジングにPultecっぽさを持ち込む用途になるかと思いました。高域のエキサイターっぽい感じは他社製エミュレーションとも大きく変わらず。
基本パラメータは他社製と大差ありませんが、MID LOWとMID HIGHにアッテネーションモードが備わってます。ちょっとおもしろい。

D16 Group Audio Software
D16 Group Audio Software

動画スクショからもわかるように、アナライザー内蔵、あと例によってプリセットが豊富に取り揃えられており、「今までと製品のベクトルが違うものの開発姿勢は貫く」そんな意思が見えます。
負荷についてですが、イコライザーって性質もあるのか、ほぼ負荷なし(皆無ってことはない)。
初めてこのタイプのEQに触れる人には少し慣れが必要になりますが、数あるPultecのイミュレータに新たに加わる選択肢としては十分かなと思いますね。