Cradle “Orion” – 低域にパワー注入

Cradle “Orion”

シンセ系はしっくり来ないのですが、ミックスバス、マスターバス用のThe God Particleについてはうちで必須ツールのような扱いになってます。Cradleの新作はOrion。

パラレル処理を活用しつつ、ドラムにアナログ的なパワーを加えるとしており、エナジャイザーのくくりに入れるのがベストかなと感じました。
The God Particleとセットで使うと相乗効果があるぜとサイトでは紹介されていますが、トライアル版を試してみて正直個人的には「まあ、そういう場面もあるかもね」くらいな印象で、完全に「好き好き(すきずき)」といってよいかなと思いました。

情報

  • Windows, macOS対応
  • VST3, AU, AAX
  • ネット接続およびマネージャソフト(Cradle Hub)必須
  • 定価$119、イントロ価格$79

ドラム、ベースには合うでしょう。ただしジャンル、テイストとの相性はあると思います。もとよりJaycen Joshuaの定番処理にのっとったシグナルプロセッサーですんで、彼のサウンドを気に入っていること、少なくとも耳にしていることが、導入に際しての前提条件になるといえます。要するに、シグニチャーってのは、必ずしもユーザーの気に入る音になることを保証しないわけですよね。

基本的には入力された音に、ずいぶんな圧が加わります。ガツガツしてきます。それだけで、ジャンルを選ぶでしょう。入力レベルによるけど、上品な音、精細な音が保たれるとはちょっと言いにくい。
といっても私自身は全然キライじゃなく、ほどよく低域から中域を飽和させる手法の一つとして充分な機能が整ってると感じてます。実際の使用時には、おおむねInputとOutputをいじるだけで調整を済ませるか、Orionの前後をGain Matchで挟んでさらにパラレル処理にするか、あるいはOrionをくぐらせたあとにもう少しEQで整えるかな、と。
というのは、ソフト内のほぼ全てのパラメータが+方向のみの処理で、-方向には機能しない。典型的にはharmonic eqが(その概念上しゃあないのだけど)ブーストのみでカットがありませんでね。カット方向に機能させると思いのほかスッキリ分離の良いサウンドとして出力してくれるソフトってわりとあるので、そうした可能性に踏み込めない設計なのは少し残念に思いました。

いまの環境で低域、中域の処理にイマイチ手応えを感じてない方には一つの解となる可能性があります。

なお、画面中央少し下のキラキラ光って見えるディスプレイ部分は、音に反応してる気配がまったくなく、ただループ画像が表示されているだけだと思われます。