Audiothing “Wurly”

ビンテージ系のサウンドの再現にこだわるAudioThingから、その名のとおりWurlitzerの特徴的なサウンドを物理モデリングで再現するWurlyが登場。
おしゃれなデモ動画でトーンを確認できます。
調整の幅

Wurlitzerを含むいわゆるエレピの物理モデリングにはご存知AASのLounge Lizardがあります。先日日記にも書いたSamplesonの場合はスペクトラルモデリングと思われるので、機構を調整してサウンドの変化を得る目的には合致しません。
Lounge Lizardはかなりマニアックな調整までも可能になっていますが、どちらかというとRhodesを意識した作りになっている印象があって、もちろんWurlitzerの素晴らしい再現率を体感できるものの、音の距離感が何か少し違うと感じる人もいるかもしれません。でも音を聞く限り充分ですよね。
その他、Logic純正のElectric Pianoも秀逸といえます。
このWurlyの場合は、インターフェースを見てもわかるようにスピーカーマイクのOn/OffとさらにはMono/Stereoの切り替えがあって、案外この違いはでかい。もう少し傷んだスピーカーのサウンドも欲しい気はしますけど。
それとインターフェース右側の各ノイズ成分。仕組みとしてはシンプルですが、キーオフ時のノイズ(上の動画でも確認できる)は演奏者(少なくとも自分)の気分をかなり左右するので、待望の再現パラメータといえそう。
Wurlitzer本体の再現にこだわっており、最近他製品で見かけるような無闇な追加エフェクトが搭載していない点、これは評価されるべき。
言うまでもなく、Keyscapeのようにサンプルを用い、FX機構を搭載し、キーオフノイズにも気を回した良質なサンプルライブラリーもありますが、価格と軽量さ(負荷)、自由度を考えると本製品WurlyやLounge Lizard等のモデリング音源のほうがいろいろ気楽です。
さらに言うまでもなく、最高の音を欲するなら実機と、機材に精通したエンジニア、メンテナンス業者が必要になります。
特にメンテナンス業者に関しては、半年前に「刀剣のメンテをお願いしたら台無しにされた」ニュースも見かけてまして、長く愛用したいのならば最高の業者に依頼するべきでしょう。歴史に残るレベルの銘機を扱うなら尚更です。