Audiomodern “Soundbox” 1.0.7 – ラウンドロビン対応

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Audiomodern “Soundbox” 1.0.7

AudiomodernのSoundboxが1.0.7のマイナーアップデートを迎えています。
この数年、Soundpaint、Excite Audioのbloom、WaveaのFliteなど、(ROM商法的な意味で)ROMplerじみたSamplerがぽつぽつリリースされており、それぞれにクセの強さを見せてますね。

Soundboxは今回のアップデートでラウンドロビンに対応しました。

ここで用語解説

ここで脱線。いや、今日の主旨はこちらなのですが、少しだけ基本用語を解説しときます。

Sampler

Samplerってのはサンプリングされたオーディオデータ(サンプル)をある程度まで加工して鳴らせるソフト。スタンドアローンとして使ったり、DAWのプラグインとして使ったりします。
今のDAWはオーディオデータを直接トラックに貼り付けて多少の加工を加えつつ鳴らせますが、加工には限界があります。そこをカバーするのがSamplerってことです。

代表的なものはKontakt。あとはDAW純正のものなど。

サンプルをどの音程で鳴らすか指定する方法として、サンプル内の専用タグ(”root note“等)に音程を記す方法と、ファイル名末尾にノートネーム(C0など)またはノートナンバー(36など)を記す方法とがあり、サンプラーソフトによってサポートスタイルが異なります。ピアノ鍵盤よりも多い最大128ものMIDIノートに正しくサンプルを割り当てていく作業もしんどいですからね。

ROMpler

Romplerは、基本的な仕組みはSamplerと変わらない(ROM=Read only Memoryと、Samplerでモジッたもの)。ただし、自分の手元にあるオーディオファイルを読み込ませることができないなど、根本的な「楽器」を変えられません。
多くの場合、ハードウェア楽器(PCM;サンプル再生方式)のソフトウェア版がそう。いわばSamplerに音色が焼き付けてあるようなイメージ。

Round Robin

サンプラーにおけるRound Robin(ラウンドロビン;Roundrobinと綴ることもあり)とは、同音程、同ベロシティで鳴らされる(微妙に内容の異なる)オーディオファイルを複数用意すること。鳴らすたびに順番にORランダムにオーディオファイル(サンプル)がチョイスされ、揺らぎがフレーズに備わります。
自然さが欲しいからと、打ち込みにおいてノートごとのベロシティをバラけさせるのは地味にしんどい。ならば鳴らされる側のサンプルのチョイスに揺らぎを与えさせてしまえ、という理屈ですね。

同一のサンプルが連続的に鳴らされた場合、ノート間に一定の距離または揺らぎがあればそこまで違和感がないものの、ノート感の距離が短く連続的に鳴らされると機械っぽさが強くなってしまいます(マシンガン効果という)。生楽器をフィーチャーした曲においてこれは致命的なので、いま記したようにノートのベロシティ等をバラけさせる(ヒューマナイズという)か、ラウンドロビン機能を活用することで回避します。

先ほど「(微妙に内容の異なる)オーディオファイル」と記しはしたものの、極端に内容が異なろうが、ラウンドロビン機能を利用した奇抜な効果を狙うことは可能。

ラウンドロビン数とは、ラウンドロビン目的で準備されたサンプルの数。したがって、ラウンドロビン数が増えるほど、原則として、サンプラープログラム全体の容量、使用メモリは大きくなり、長大なサンプルであるほど当然、ラウンドロビンに対応したサンプラープログラム全体の容量と使用メモリが暴力的に増えることになります。
全体の容量、使用メモリを抑える手段として、異なる音程用のサンプルをピッチシフトして鳴らす疑似ラウンドロビンもあります。

すべてのラウンドロビンを一つのファイルにまとめた(concatenateまたはその略称concat、あるいはスプライトという場合も)サンプルを使用する場合もあります。