“AudioFinder” に AudioCortex (AI)ベータが乗っかってた

AudioFinderで知られるIcedAudioが、AIによってオーディオ素材を分類してくれる AudioCortex を世に出した、というニュースを見たのが実はもう1週間前らしい。
この数日間少し忙しかったのと、近年AIって言葉が独り歩きし始めた印象もあって、ニュースとしては流しちゃってました。
昨晩たまたま必要になってAudioFinderを立ち上げたところ画面右上に謎のボタンが出現して、クリックしたらAudioCortexが開いて、この機会についでに少しいじってみたので、その操作感と雑感をメモします。

Iced Audio's AudioCortex
Iced Audio’s AudioCortex

オーディオ素材群を画面に放り込むと自動的にそれぞれの音の特徴を検出し、既定のカテゴリーに分類してくれます。
これにより一個一個自分の耳で聞いて確認する必要がなくなり、いつの日かに備えてそれとわかるようなファイル名にリネームしておくなどという必要もなくなります。
かつて、MP3タグのようなメタ情報の活用(BWFなど)が期待された時代もありましたが、各メーカーで仕様にバラつきがあったり、そのメタ情報を管理するソフトがOSの多様化についていけず更新停滞するなど、なんか昔から僕ら、こうしたファイル管理って面においてはけっこう振り回されてます。結果、フォルダに分けるという昔ながらの方法に頼ることに。

そんなこんなで、AIが語られる時代になって”Sononym”や”ADSR Sample Manager”、ドラムサンプルに関しちゃXLN Audioの”XO”やAlgonaut “ATLAS”といったものが登場して、分類や管理がラクになったのも確かです(大量の素材を所有してた場合の「重さ」の問題は未解決と思われるが)。

“Sononym”

ADSR Sound “ADSR Sample Manager”

AIでドラムキット生成 – Algonaut “ATLAS”

AudioCortexはこれらと比べるとだいぶ後塵を拝した感あります。
AIによる判断はそこそこ早いしミスも多くはなく実用に堪えうるものの、機能同士が今ひとつ連携されておらず、充実度が低い感があります。ただ現状ベータ版だそうなので、安定版では仕上がっていくのかも。

これはAudioFinderの画面
これはAudioFinderの画面

上のスクショの2つ目がAudioCortexの画面で、ポイントはリストになってる左端のレーンに分類が記されていること。既定の分類アルゴリズムに新たなカテゴリを追加するのはほぼ無理であり、またユーザーの想定と違う分類を修正する方法も見当たらないのですが、ご覧のように第1候補と第2候補が併記されてますし、よほどヒネくれたオーディオ素材でなければ基本的に判断が間違っていることもほぼないので、許容できる範囲かなと思います。

とはいえ…日々(という物凄く速いペースで)新しい概念が生まれるのが創作の醍醐味であり、分類用AIに最新情報にキャッチアップし続けてもらうにも限界があると個人的には思っていて、今の分類定義のまま何年も使い続けられるとは考えにくい。
抽象的なオーディオ素材や、何にでも使える便利な素材こそ分類不能でしょうし、カバーしきれてない部分も多々あると思われます…。
ユーザー自身が、AIにどこまで任せて自力でどこから担うか、今はそれを考える時期なのかもなと思わされました。
将来的にソフトに継続的な更新が期待できるのかが、導入可否の一つの分岐点になるかと思います。

現在AudioFinderの機能の一部(ただしベータ)以外に、AppStoreで独立したアプリとして¥1,220で販売(https://apps.apple.com/jp/app/audiocortex/id1478349000)されていて、スクショを見るとサラウンド音源に対応していたり、スクリーンキーボードへの何らかの割り当てができたりと、ファイル形式のカバー率には期待できそう。