Attack Magazine にリバーブガイド

Attack Magazine にリバーブガイド

恒例のAttack Magazineにリバーブガイド決定版とする記事が上がってますね。

Before we get into it, we’d like to iterate that these are not rules, just guidelines. While there’s a long history of tradition in recording, and certain reverb types get used with certain instruments often, that doesn’t mean you have to do it this way or that your mix will be crap if you don’t. Mixing is just as creative an activity as composing. If it sounds good, it is good.

DeepL翻訳:本題に入る前に、これらはルールではなく、あくまでもガイドラインであることを強調しておきたいと思います。レコーディングには長い伝統があり、特定の楽器には特定のリバーブタイプがよく使われますが、だからといってこの方法でやらなければならないとか、そうしないとミックスが台無しになるということではありません。ミキシングは、作曲と同じようにクリエイティブな作業です。良い音が出れば良いのです。

The Ultimate Reverb Guide – Attack Magazine

最近のDeepLの翻訳は実にいいですね。砕けた内容や「:」付きの文章だと失敗や取りこぼしが多いですが、この感じの文章では失敗しない。気になる人は本文丸ごと翻訳かけるといいでしょう。
それにしても、この抜粋部分のような前置きは、この日記でもたびたび書いてきてますけど、大手の記事でも書かなくちゃならんくなったんですかね。こんなのをわざわざ書く必要があるとこが実に切ない。

さて、あらかた元記事の中で記されていて、リバーブのタイプや類別に関しても文句ありませんし、試聴もできるので、漠然としかわかってないって人には便利な記事になると思われます。

以下駄文。

リバーブ・アルゴリズム

念押ししておくと、ホールにせよルームにせよ、残響を作っていた物理的な手法がもともと昔あって、今それらはリバーブタイプをシミュレーションしたプログラム(アルゴリズム)の種類の名称となっています。なので、それらの名称は単に余韻の長さだけを指すわけではありません。ルームの余韻を伸ばせばホールになるかというと、印象が違うんですよね。

サンプリング音源で曲を作るとき、そのサンプルは実際に楽器等を鳴らした音で、多くの場合、その楽器を収録したときの場所の響きを同時に拾っています。オーケストラ系の音源では、ホールの響きがそのサンプリング音源の個性となっていて響きを後から除外することは不可能。楽曲のミックス時にわざわざリバーブをさらに追加することはほとんどありません。微調整や一体感を意図して追加する場合はあります。
ピアノやアコースティックギターなんかのサンプリング音源はドライに収録されていることが多いので、リバーブを加えたほうが扱いやすいでしょう。

一時流行ったデッドなミックス手法がいま下火になってきたんで、それで慣れちゃってる場合は今のうちからリバーブの扱いに慣れとく必要はありそう。各トラックの役割とか、各構成(サビなど)の役割を考え、どのタイプのリバーブが曲の響きをよりよくするのかを考えることが初手と言えるでしょう。少なくとも出来の悪さを誤魔化すものではなく、使うんなら元から出来のいい音に対して使うほうが効果を発揮します。

トランジェントとリバーブ

ミックス時に超薄く(長短ではない)かけるのをスタート地点としていて、’そのパート(トラック)をミュートしたときにはじめてリバーブがかかっていることに気づく’くらいのかけ方を自分は目安としています。比較的タイトめな曲を好きだからそういう嗜好になったんかも。
そうするとキツめのコンプをかけたりトランジェントを立てたもの(スネアやキックなど)はリバーブを絞らないと予想以上にデカく響いちゃいます。おそらく耳に聞こえているよりもコンプやトランジェントがそもそもかかり過ぎていたり、アタックの瞬間に周波数レンジを食い過ぎてるんだろうと考えます。そうしてそこから、EQやコンプのほうにも手を入れつつ落とし所を探っていく、と。

テールの長短、その表記

リバーブの長短や量について補足しておくと、長いディケイのもの、ウェットさなど、明らかに効果の感じられる設定値をつい選びがちなのですが、それじゃセンスの解像度が低すぎますし、歌も演奏もそれに頼る限り永久に上達しませんので、バリエーションを育んで最適なものを選べるようになったほうが仕上がりはよくなるでしょうね。短めのリバーブやアーリーリフレクションを活用すれば地に足のついた雰囲気を充分に出せますんで。
中程度の長さ(0.8〜1.2秒くらい)のを違和感なく使えるようになれれば人並みかなと個人的には思ってます。

秒数で思い出しましたが、コンボリューションリバーブのプリセット名やインパルスレスポンスのデータに記される秒数はあまりアテになりません(先刻ご承知かとも思いますが)。リバーブのテールがシュンと消えたり、ほぼ聞こえない音量になってもかすかに残響が残ってるものなど、トリッキーで体感の秒数と異なるインパルスレスポンスのデータはかなり多いので、工夫して整理したほうがいいかなと思います。

リバーブ効率

自分のリバーブの好みは、メーターがあまり振れなくても聞いてリバーブ感がわかるもの。つまり効率のいいもの。
DAW純正のコンパクトなリバーブって、ハウリングっぽい金属的な響きになりがち。一方で、ピュア過ぎる響きのものはリバーブ量を上げないと聞こえにくいデメリットがあるので、程よく荒れているものを自分は好んで使います。