AIでドラムキット生成 – Algonaut “ATLAS”

Algonaut ATLAS なるミドルウェア的プラグインのベータ版が配布されています。
現在配布中のBeta 5は6/15まで使用可能とのことで、慌ててチェック。

New Sampler, Atlas, Automatically Organizes Your Samples Using Artificial Intelligence

AIによるドラムキット生成を標榜してはいるものの、早い話、ランダムにチョイスされたセットをユーザーが評価していって自分の好みもしくは多くの人の好むものを割り出す、といった感じらしい。
一瞬「なぁ〜んだ」と思ったものの、でもガンガン教え込んでいったらどうなるのかには興味ありますね。

紹介動画ではAbleton Liveを使っているのでM4L用のソフトかと思いきや、LogicのAudioUnitsでも動きました。

Atlas - Change the way you find samples and make beats
Atlas – Change the way you find samples and make beats

サイトにアクセスしてメンバー登録し、Download Betaのリンクをクリックしてインストーラーをダウンロード。インストールが終わったらDAWを起動してインストゥルメントトラックに挿します。
少々期待外れだったのは、フレーズ自体は自分で作るかMIDI ClipをDAWにドラッグしないといかんことで、ここはNew Kitを生成したと同時に勝手にそれらしきフレーズが作られてこそAIじゃないのかなと(僕が使い方を把握してないだけかもしれない)。

ドラムパーツがマッピングされる
ドラムパーツがマッピングされる
ジャンルおよびパターンごとのMIDI Clip
ジャンルおよびパターンごとのMIDI Clip
拡大すると各パーツでもっと多くのバリエーションを見られる
拡大すると各パーツでもっと多くのバリエーションを見られる
自分が所有してるサンプル群を放り込んでアナライズすることで新たな書庫とする
自分が所有してるサンプル群を放り込んでアナライズすることで新たな書庫とする

ただ、まあ、ローカルつまり個人で保有しているサンプル群をATLASの画面に放り込んで自動解析させ新たなMapとしてコンパイルする機能は面白いと思いますし、Every Noise at OnceのようにMapを拡大縮小してマッピング状態を楽しむのも一興かとは思います。

この意味では、クリプトンの配布しているMutant(配布終了したのかな?)がトラックメイカーたちにとってもっと扱いやすくなったものって解釈が正しいのかも。
総合的には、このままのソフトだと不完全という印象を持ちました。

さて、そこで、せめて自分の環境でもうちっとフレーズの自動生成と噛み合わせられないかなってことで、こういうふうにしてみました。

Drum Machine Designerに直接突っ込む

Drummerトラックを作ってElectronicタイプのものに変更
Drummerトラックを作ってElectronicタイプのものに変更
あとはDrummerトラック上のDrum Machine Designerに、ATLASのサンプルをインポートさせていく
あとはDrummerトラック上のDrum Machine Designerに、ATLASのサンプルをインポートさせていく

まずはDrummerトラックを作って、いわゆるアコースティックものではなくDrum Machine Designerを使うタイプのキャラクターに変更します。つまりElectronicとかHip Hopとかその辺のジャンルのキャラクターを選ぶ。
別途インストゥルメントトラックを作ってATLASを挿し、ATLAS上のドラムサンプルをドラッグしてきてDrum Machine Designerのパネルにアサインしてやると、Drummerのビートプリセット機能を通じて鳴らすことができる、つまりいちいちLogicにMIDI Clipをドラッグするたびに「テンポを反映させますか?」的なダイアログが表示されて同期がグチャグチャになる心配も要らなくなります。
願わくば、こういうMIDI ClipをShiftとか⌘とか押しながらLogicにドラッグしてきたらテンポ反映の可否を尋ねるダイアログをスキップなどできてほしいとこですが。
で、この手法、Finderからドラムサンプルをドラッグするのと実質変わらんので別段便利でもないです。

DrummerトラックにATLASを挿す

そこそこ力技です。

(1)Drummerトラックを展開して最初のチャンネル以外削除
(1)Drummerトラックを展開して最初のチャンネル以外削除
(3)キックにささっているUltrabeatをATLASに変更
(3)キックにささっているUltrabeatをATLASに変更
(2)ミキサーのほうでもキック以外全部削除し、アウトプットはStereo Outに
(2)ミキサーのほうでもキック以外全部削除し、アウトプットはStereo Outに
(4)アサインされた音域が違うのでMIDI FXのTransposeで2オクターブ上げる
(4)アサインされた音域が違うのでMIDI FXのTransposeで2オクターブ上げる

先ほどと同様にDrummerトラックを作りますが、Drum Machine Designerはデフォでマルチアウトの状態で作り込まれていて鬱陶しいので、折り畳まれたトラックスタックを開いてバスドラ以外のチャンネルを削除します。
ミキサーも同様にバスドラ以外のチャンネルを削除。
バスドラのチャンネルには実はUltrabeatがささってる状態なので、これをATLASに変更し、チャンネルのアウトプットもStereo Outに変更。
これでDrummerのビートプリセット機能がATLASに対して機能するようになります。
ただ、各パーツの対応する音程が違うので(Drum Machine DesignerがC1からなのに対し、ATLASはC3から)MIDI FXのTransposerを挿入することで合わせてあげると。
TransposerでなくScripterを挿して、そのプリセットメニューからDrum Kit Designer Remapperなんかを挿してあげてもいいと思います。

Drummerトラック自体がトランスポーズを受け付けないという(必然性のない)仕組みになっているので少々わずらわしい手順が必要になりますが、これでまあ多少便利に使えるんじゃないかと思いました。

ATLASに関しては、MIDI Clipのプレビュー機能かフレーズの自動生成機能が備わると有り難いですね。