Manually Placing Harmonics and Harmonizing Tones
昨日、上のような記事のタイトルをフィードリーダーで見つけて、何ぞなと読みに行ったら、フーシュ(風切)音に対してEQで特定の周波数を突いて独特な余韻を作る手法の紹介でした。
記事中にも記されているように、音程やインターバルの周波数は関数電卓があれば比較的簡単に計算で出せる…だけど毎回計算するのがしんどいならExcelかGoogleスプレッドシートで表にまとめるのがいいでしょう。
※開発系と絡むような仕事の場合、中央AをA3かA4か先に摺合せとかないと後で大惨事になることだけ書き添えておきます(昨年一昨年、それに少し振り回された)。
それはそれとして、上の記事では音程を計算で出しつつPro-Q 3でその周波数を突くってことをしてますが、Pro-Q 3は左下の鍵盤マークを押すと周波数でなく音程でバンドを作成/編集できるようになり、そのほうがラク。
とはいえ誰の環境にでもPro-Q 3が入ってるわけじゃない。なので上の記事ではレガシーな方法で解説してくれてるわけです。
別の方法はアリか
さて、この手法をもっとラクにできないのか、他に似た方法はないのか。結論いうと、何だかんだ上の記事で紹介されてる方法がラク。Pro-Q 3で鍵盤表示させるとなおラク。
しかし時間経過に伴ってこれらの倍音列を連動させるとなるどだいぶ面倒になるでしょう。あるいは個々のバンドの定位を変えるなど変化を加える場合。
以下、思いつくままザクザク書いていくので元の記事内容との合致具合については保証しません。
自分が思い描くものとしては、基本周波数に整数次倍音を選択的に追加できるイコライザーもしくはレゾネーターなのですが、ビンゴなものはなさそう(M4LやReaktorにならあるのかも)。
今日のテーマだと一つの信号に別の信号(音程)を(一定の自由度を確保しつつ)掛け合わせる話である以上、サイドチェーンの利用は避けて通れません。
Spectrum Resonator
これはAbleton Liveのデバイスで、入力信号に対して内蔵またはサイドチェーンMIDI入力でレゾネートさせられるもの。
サイドチェーン”MIDI”入力と記した通り、MIDI信号を周波数つまり純音として扱うので、いま求めてるものとは少し的がずれる。むろん倍音列をMIDIノートでビルドすることは可能だが、それ、あまり楽しくなさそう。
ついでにいうと倍音列は平均律と異なるので、厳密に美しさを求めるとなるとMIDIノートを重ねるこの手法だと望ましくないと思います。
ボコーダー
ニュアンスとしては似ているけど、ボコーダーはレゾネーターってよりフィルターなので、この用途には少し向かないかなと。
不幸にもディスコンしたiZotopeのIrisやU&IのMetasynthもボコーダーに近いものなので、不向きと判断。
ボコーダーは、使うとボコーダーっぽさが(主にディケイ/リリース部分に)如実に現れるため手応えが乏しい。ただ、アリはアリ。
SerumFX
環境によっては少々面倒ですが、SerumFXも何だかんだ色んなニーズに応えるエフェクトです。
CombないしFlangerに効果帯域を削り取るオプションが付いているので、イメージ的にはいちばん近い。
あとDriveとMixでバランスを取ればかなりレゾネーターっぽくはなります。
キーフォローやベンドも活用すると自由度は確保できそうだけど、倍音っぽさは希薄。
いったん整理すると、複数のピークノッチフィルタを並列ないし直列につないで連動できるのが理想。
連動できるか定かではないものも含めると、Pro-Q 3やTBTechのKirchhoff EQ、Ozone(Neutronかな)のEQ、SoundRadixのSurfer EQ、Minimal AudioのMorph EQ(音程周波数非対応)かHybrid Filter(音程周波数対応)辺りに期待をしていて、これらと何かしらの補助ソフトを使えば巧いことサバけるかもしれない。
何かしらの補助ソフトとはLogicのMIDI FXか、Smart Controlなど。モジュレーションホイール等のMIDI調整で複数のパラメータを連携コントロールできるようにすれば、一応意図には沿います。
と、元記事の内容に立ち返ると、倍音列ってよりは好きな(なるべくなら協和する)周波数を突こうって話なので、元記事通りPro-Q 3を使って突くか、Ableton LiveのSpetrum Resonatorを使うのが手っ取り早そう。各ブースト周波数をまとめて動かすならなおさら後者が妥当。
そこからの拡張可能性、先に記したようにバンドごとにパン振るとか、バンドごとのゲイン値をLFOでバラバラに揺らすとかするとなると、シンセの内蔵エフェクトとしてはあるけれども単体のエフェクトとしてはニッチ過ぎて手に入らないと考えたほうがよくて、一つの機構内に複雑なルーティングをして成立させるよりも多少の劣化は織り込んでエフェクト1個ずつインサートして処理するのが現実なんだろうと思いますし、織り込み済みの劣化というけどそこまでシビアに行わないのが現実なんだろうと。
それでももっとシビアに加工してそこから得られる何かに期待するのであれば、Byomeのようなものを使う手もありそう。
以上、完全に徒然と書いたので、まったくまとまっていない記事でした。