Mixは砂絵のごとし

前回このタイトルで日記を書いたのは2011年ですな。もともとそんなに得意な分野ではないってのが大きいのですが、ここ2,3年はMIXとマスタリングをお褒めいただくことが多いです。社交辞令だよなと思いながらも。

執筆中の書籍だとたぶんカットになると思う(そもそも分量が多いので)ので、こちらに書きますかね。
何度か書いた前口上ですが改めて書いておきますと、他のプロの方からある程度ノウハウをいただきつつも基本は我流なので、がっつり勉強したい方はちゃんと標準的な訓練を積んだ人のいるスタジオに入って習ったほうがいいです。

砂絵

ミックス時の帯域分散コンセプト

ミックス時の帯域分散コンセプト

中東のボトル砂絵のお土産みたいな右のグラフは、ミックスのときの自分なりの目安。縦軸はパーセンテージ、横軸は周波数。もちろんジャンルや構成楽器、音色、想定される再生環境、リスナーのターゲットなど状況によって違います。

基本的には、ここから飛び出すとコンプが利いちゃうと考えるようにしていて、もともと僕自身はコンプ感のあるMIX(最近滅多にないけど)があまり好きじゃないので、なるべくこの中に音を収めるイメージでやってます。
ヘッドフォンでコンプ感が出ちゃってもスピーカーでコンプ感はそんなに目立たないって傾向があるのだけど、それを踏まえ、スピーカーでコンプ感伝わっちゃう音なら失敗MIXであると自分に言い聞かせています。MIX悪ければ曲も死ぬ。
中低域と高域とでバランスの合計が100%に満ちていないのはパーセンテージのグラフとして好ましくないんですが、200〜500Hzはもっさりしちゃうし、2kHzを超すと格段に耳障りに聞こえやすくなるので抑えましょうねといったニュアンス。

個々のパートで考えると

一応個々のパートのことも軽く書いておくと、キックは160〜320Hz辺りをカットしてベースの通り道を空けて(一方、キックの芯にあたる50〜90Hz辺りはベースのほうをカットするっていう棲み分けをしてます)、2〜3kHz辺りを上げてアタック感出す、と。
スネアは種類によって実にまちまちですが、適度にザラザラ感を残して芯の部分は控えめに残す感じ。
ベースは、淀みやすい120〜400Hz位を抑えて(ベースアンプのシミュ通すとそんな感じの音になる)、9kHz辺りまでは活かす。
ギターは、曲にもよりますが芯にあたる400Hz辺りまで下をバッサリ削ります。イヤミになる4kHz前後はちょっと抑えて、1〜3kHz辺りは他の楽器とバランス見ながら少しずつ削ります。
問題は歌で、きちんと録れていればほぼそのまま使えるんですけど、マイクとの距離の取り方があまり芳しくない場合は音程感と歌詞の聞き取りやすさの両方に難が出てくるんで、Mic Mod EFXで近接効果を作ったりiZotope Nectarで真空管のシミュを通したりして調整するという感じ。歌は音程と倍音が文字ごとに変わるんで、EQじゃどうしようもないというとこです。
あとは、倍音やノイズがひしめく6kHz以上はパートごとに振り分けて聴き分けしやすくしてるといったとこです。
わざと篭もらせたり、超長いリバーブにしたり、擬似立体音響的なことをしたりと、意図を持って上の図のような目安を裏切ることもそれなりにあるわけでして。自分個人の中で目安を作っとかないと、妙ちくりんなことするにしてもただ暗中模索にムダに時間かかっちゃいますもんねと。

ほんで、最近の曲のMIXを聞くと100Hzから下が留守だったり、それでいてドンシャリになっていたりで、ポータブル再生機器のヘッドフォンやイヤフォンでの環境に合わせてるんだろうなーと思います。わかんないけど。
そこ行くと、自分は低域から、よくて中低域までで事足りてしまうドンヨリとした音が好きなので、ヘッドフォンやイヤフォンでのリスニングに全く向いてなさそうな気がします。