私を構成する36枚(再編版)

FB等で2020年にまた流行り出してるバトン。
何度も同じ話するのもアレなので、再編集しながら見直してみます。

  1. ウォルト・ディズニー ファンタジア (オリジナル・サウンドトラック / デジタル新録音盤) – アーウィン・コスタル
    音楽に関する自分のいちばん古い記憶は、アメリカで過ごしていた幼児期に聞いた、ポンキエッリの「時の踊り」も収録された「くるみ割り人形」のレコード(https://www.amazon.com/dp/B00C9OCB34)と、世界各国の童謡が収録されたIt’s a small world(https://www.amazon.com/dp/B000NICYG2/)。
    窓の外は大雨、薄暗い自宅でセサミ・ストリートか何かを見ながら、両親と兄の帰りを待っていた光景が思い出されます。
  2. 決定盤!!喜多郎 / シルクロード ベスト – 喜多郎
  3. The Complete Last Concert – モダン・ジャズ・カルテット
    家族で日本に帰ってからは、どこかに車で行くとなると車内では喜多郎かMJQのいずれかが流れていた。
    でも年に一度くらいの家族旅行のときには子供向け番組の音楽も何曲かは流されていたと思う。
  4. BGM – YELLOW MAGIC ORCHESTRA
    今のように音楽を音楽として聞くようになったのは小学校高学年に入ってからだろう。兄のお蔭だ。
    ライディーンやテクノポリスでYMOを知り、BGMとテクノデリックを最新作として聞いたとき、暗さにショックを受けた。
    Happy EndやLoomに至ってはリズムらしいリズムもなく、子どもの自分にとってミニマリズムは恐怖だった。
    YMOのバンドスコアから、コードや記譜を学んでいったとこがある。
  5. EXPO / エキスポの万国大戦略
    YMOやTVゲームといったデジタルな部分に影響を受けた中学校時代だったが、たしかダライアス(©1986, TAITO)のOST経由で知ったのが、松前公高氏と山口優氏によるEXPOというユニットで、演奏の崩れ、ピッチのズレ等をわざわざ打ち込んだ哲学的というかサブカルチャー的な存在。
  6. RAINBOW RAINBOW – TM NETWORK
    あまりガツガツしておらずバランスがいいと思ったアルバム。
    これ以後のはカチカチと窮屈であまり好きではない。
  7. CASIOPEA / THUNDER LIVE
    高校の同級生のコピーバンドで見てフュージョンに没頭したわけだけど、結局初期の荒々しい頃のサウンドが自分はいちばん好きっぽい。
    当時、TMをはじめ多くのJ-Popのアルバムにはフュージョン系ミュージシャンが頻繁に参加していて、キャスティングの良し悪しをよく兄弟で評し合ったものだ。
  8. The Chick Corea Elektric Band
    大学時代、日本のフュージョンバンドをひとまずアレコレ聞いていたが、サークルを卒業する先輩に洋楽フュージョンをいろいろ教えてもらった。
    和声やリズム面がそれまでの知識では理解不能で、少しずつ独自解釈を加えて消化していった。
    学祭でKing Cockroach、そしてK社退職後にはRumbleをバンドコピーした。
  9. The Plot Thins – A History of Brand X – ブランドX
    大学のバンドサークル時代にはフュージョンやソウルや色々演奏させられたのだけど、プログレがやはりしんどかった。
    中でもBrand Xは不協和音、変幻自在なPercy Jonesのベース、高速変拍子が特徴的で別格な存在。今だとJazz FunkかCrossoverにカテゴライズされると思う。
  10. Bill Bruford / The Bruford Tapes
    渡辺香津美のライブで共演したBill BrufordとJeff Berlinのコンビネーションが楽しめる。Bill Brufordのドラムは電子ドラムよりロートタム使ってるほうが好きなので、このアルバムはお気に入り。
  11. Illicit – Tribal Tech
    ザヴィヌル系の後継者って感じだが、曲によってはもっとグイグイ来る。
    The Big Waveが凄すぎるせいで他の曲の印象がない。
  12. Live and In Living Color – EP – タワー・オブ・パワー
    当時、サークルの休憩所にはギタマガだのサンレコだのドラマガだのが置きっぱなしになっていて好き放題読めた。
    中でもドラマガで見かけたタワー・オブ・パワーの絶賛ぷりが気になって、なかなか手に入らないこのCDを取り寄せて聞いた。
    いわゆるカッコいいリフ構造ってのとは違って、これは何だ!?と思った。
  13. Love Deluxe – Sade
    ソウルものを聴き漁ってた時期に予備知識なくジャケ買い。
    想像してたものとまったく違ったが、独特のメロディセンスにやみつきになるとともに、UKの懐の広さを思い知る。
  14. Love Symbol Album – プリンス
    プリンスのアルバムにはもっといいものが他にあるが、自分にとっての入り口はこれだった。
  15. The Road to You – Recorded Live in Europe – パット・メセニー・グループ
    情熱のパットと理論のライル、しっかりしたリズム隊に艷やかなウワモノと、最盛期といってよいアルバムだと思う。
    2019年にライルを喪い、あの緻密さ精巧さを二度と聞けないと思うと絶望してしまう。
  16. Return of the Brecker Brothers – ブレッカー・ブラザーズ
    ブレッカー・ブラザーズの泥臭さをGeorge Whittyが都会的にまとめ上げたものであり、フュージョンの終わりのように当時は捉えた。
    最後に挙げるSnarky Puppyなんかは音楽の構造の面でこのReturn〜の延長上にあるのではないか。
  17. Waltz for Debby (Remastered) [Live] – ビル・エヴァンス・トリオ
    ラテンバンドをやっていた頃に”The Waltz for Debby”を教えてもらって以降心酔した。いわゆるロマンチック和声だが、余計なエロさがなく垢抜けていてホントに好き。
  18. Tala Matrix – Tabla Beat Science
    Bill LaswellとZakir Hussainを中心としてタブラ奏者4人をフィーチャーしたユニット。
    トランスを掘ってたころにBounce誌か何かで見て買った。民族音楽に対する印象がこの頃に大きく変わっていった。
  19. Tsunami
    Macを購入したときにiTunesに最初から入っていたKinetic Recordsのアルバム。
    ひときわ光ったInfected Mushroomは今なお憧れの存在。
  20. Richie Hawtin / De9 : Closer to the Edit
    知性派Jeff Millsすら悪ノリに思えてしまうキンキンにミニマルテクノな秀作と思ってる。
    テクノは雑で騒々しいという固定観念を覆し、最小限をさらに減量してネガティブスペースもがグルーブに組み込まれている。当時、目から鱗が何枚こぼれ落ちたかわからない。
  21. Squarepusher / GO PLASTIC
    鬼才と聞いて手を出した。基本Aphex Twinの延長上と当時感じたが今はすっかり立派になられて。
  22. Sincere (Deluxe) – MJコール
    2 stepにも色々あったが、もともとJazzかじりの自分だったのでMJ Coleが馴染みやすかった。
    が、4ever Young、Mindless & Brokenなど、CDに収録されていない名曲が多すぎな気がする。
  23. Miguel Migs / Colorful You
    同様にJazzかじりの自分にとってはNaked Musicのシリーズものが聞きやすい。
    このレーベルのものとしてはCarte Blancheのシリーズに並ぶ完成度の高さ。
  24. Derrick Carter & Mark Farina / Live at Om
    ムーディーなものに飽きてグルーブ優先なものを聞いていた時期。ミドルテンポで超タテノリ。2,3ヶ月ほどの間通勤中はずっとこれを聞いてた。
    Om RecordsのものとしてはこのライブDJアルバムと、Dubby House, Dirty DiscoとのコンピであるLost on Arrivalが秀作。
  25. Un Día – ファナ・モリーナ
    アルゼンチン音響派。海外のデザイナーさんのブログで知ったと思う。
    プリミティブで剥き出しの表現欲求に心を鷲掴みにされた。
  26. Haila – Haila María Mompié
    キューバン・サルサ(ティンバ)の歌姫との呼称を見た。
    日本で行われたライブを収録したClub Tropicana 2003が猛烈にいいのだが現在入手不能らしい。
    Sobre Una Timba Una Rumbaのアレンジがとんでもない(Sobre Una Tumba Una Rumba – YouTube)。
  27. 2000BLACK Presents The Good Good
    Broken Beatにハマったきっかけ。
    これと前後してNaked Musicを聞いていたので今に至るまで影響はすごく濃いと思う。
    ただ、あらゆるものにおいて言えると思うけど、流行の分野ってそのピーク期にリリースされる作品がどうしても玉石混交なので、いいものを掴まないとナメてしまう結果になる。
  28. Riverdance (Music from the Show) – ビル・ウィーラン
    音楽やダンス部分はもちろん、ストーリー部分もしっかり鑑賞したい。
    ひさしぶりに聞いたけど、3連符の真ん中のタイミングが若干早いんだね。このジャンル。
  29. The Beauty Room (Album) – The Beauty Room
    Peacefrogからリリースされた、Jinadu, Kirk Degiorgio, Ian O’brienらによる極上バンドユニット。
    Jinaduの美声、そして新鮮なハーモニーに陶酔する。
  30. Every Day – The Cinematic Orchestra
    それまでの作風を一気に「美」へと昇華させたもの。
    この時期、Dzihan & Kamienなど欧州のNu Jazzの洗練度というか徹底度が凄まじく、急速に現代解釈が進んでいったような気がする。
  31. The Bird and the Bee – ザ・バード&ザ・ビー
    超シンプルでスマートなサウンド。ミックスの際の教科書と考えてる。
    今では当たり前だが、アンビエンスの扱い方がべらぼうに上手い。
  32. Tania Maria / Alive & Cooking
    実は持っていなくてYouTubeの動画(Tania Maria – YouTube)で知った人なのだけど、ムジカ・ポプラール・ブラジレイラのミュージシャンのポテンシャルにショックを受けるには十分。
  33. Gipsy Project – ビレリ・ラグレーン(https://music.apple.com/jp/album/gipsy-project/1192041531)
    ジプシー・ジャズひいてはヨーロッパ系ジャズを読解していく入り口として自分にはちょうどよかった。
    技巧主義の皮を剥ぐと構造の美しさが見えてくる。
    この前後2,3年間は音階に対する自分の認識を見直していた時期で、一つのヒントがここにあったのは確実。
  34. The Pedrito Martinez Group – The Pedrito Martinez Group
    録音物では伝わらないと思う、パワーとコンビネーション。
    Ariacne(女性キーボード)の脱退した今は正直いって面白くない。
  35. For Now I Am Winter – オーラヴル・アルナルズ
    ポストクラシックと称されるが自分の中では音響派の一人と認識。
    ガシガシ音を重ねて濁すのでなく、音色をこだわり抜かねばと思った。
    これ以降、音色の作り込みに凄まじく時間がかかるようになって制作の頻度が極端に落ちたが、そのぶん良くも悪くも既成の音色を見る目も厳しくなったかもしれない。
  36. We Like It Here – Snarky Puppy
    シンプルなモチーフを複雑にそしてグルーヴィーに仕上げるSnarky Puppy。
    演奏内容も十分過ぎるくらいだが、この人数で誰が何を弾いているのかわかるミックスはたぶん一生かかっても自分には無理だと思う。

ご覧の通りリストはほとんど洋楽で、単純にコンプレックスの現れだと思います。
自分の理解及ばぬ(だけど美意識が反応する)ものに圧倒される感覚を得るために洋楽が当初都合よかったということ。US系を聞いて、クラブ系、音響系、ワールド系に目が行ってという嗜好の遷移を見ると、自分のM的気質はすごくよくわかります。
だけど灯台下暗しというか、洋楽眺めている間に最近の邦楽が面白いことになっているのも事実なんですよね。

※初稿 2017/04/25