過密を軽減するニッチなトランジェントプロセッサー、Oeksound “Spiff”

ニッチなとこを攻めるOeksoundが、予告どおり新しく Spiff なるプラグインソフトをリリースしたようです。

oeksound | plug-ins you actually need

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Sootheと同様に共鳴を軽減するためのものでありつつ、Spiffは特にトランジェント部分の周波数分布を手入れする目的のもの。

oeksound “Soothe”

たとえばキックのアタックの高域だけをしっかり出して低域はベースの音程をしっかり出したいなんてときに、キックにSpiffをかまして調整しておけば理想の音の出方になるという仕組み。
アタックだけに効果が出るので、もちろんアタックタイムを過ぎてからはキックの芯の音を残したままにできるわけです。
それを実現しようとしたらこれまではキックに高速のピッチのエンベロープをかけてやったりなどして、でもトランスのキックみたいにハイピッチに聞こえないように、かつデュレーションが短くなり過ぎないように地道に調整してやる必要があったわけですが、Spiffを使って行うことも可能になると(連打フレーズには対応しきれないけど)。
ボーカルにしっかりとした子音を作りたいってときにも、ボフッとした低域を強めずに、かといって後続の母音の帯域の豊かさも損なわずに鳴らすことができる、そういうことになります。

CutとBoostと2つの処理モードがあって、Cutは帯域を選んでアタックを削る/削らない方向で処理し、Boostは帯域を選んでアタックを増幅する/しない方向で処理します。
実際にいじると最初のうちはちょっと混乱しそうになりますが、マルチバンドコンプをふだんから使っている人ならすぐ慣れます。

Sootheと同様スペクトラムに強く影響するので、設定が極端すぎると圧縮し過ぎたMP3のようにゴロついた音になります。
SootheにせよSpiffにせよ効果や目的が今ひとつわかりにくいって人は、デモ版を落として、一度ガッツリかけてみるといいと思います。
「ミックスは何を目的として行えばよいのか」も間接的に理解できるんじゃないでしょうか。
ともあれ、あのゴロついた感じが好きって人はまずいないと思いますんで、加工を目的とした積極的な使い方をするってよりも、好みのサウンドを得るためのシリアスなトリートメントとして人知れずこっそりと使うってのがベストでしょう。

EQ以外の設定可能項目はこれもSootheと似通っているので理解しやすい。
Sharpnessは健在。効果を与える成分を確認できるdeltaも健在。
謎めいていて面白かったSelectivityはSensitivityとして同様に機能。
注目に値するのがstereo modeのL/RとM/S、そしてstereo link、そしてbalance。特に2つのチャンネルをbalanceで制御できるのは、自然な結果を得やすくて非常にポイントが高いですね。
で、あと定番のdecayですが、このdecayにもLF/HFつまり低域と高域の重み付けというか傾斜を与えることができてGoodです。

繰り返しになりますが、原則として、効果がわかるほど強くかけるべきものではありません。
それはSootheも一緒で、聞き手にはわからないけど作り手にとっては悩ましいミックスの際の音の密部分を疎にし、より無理なくクリーンなサウンドに仕上げるための「押さえ」の役割を果たすものと考えたらいいんではないでしょうか。

だいぶ前になりますが、雰囲気は残しつつ音圧をがむしゃらに上げるんなら、過密状態を軽減するために重要度の低いパートの音を一度MP3なりに劣化させてミックスさせてみようか、みたいなことを書いた覚えがあります(怒られそうなのでたぶん消したと思う)。バカバカしいと思ってたのに、それが実現されちゃったようなものですね。

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